はぴねす2007年9月



幼いときの出会い
牧師 藤波勝正
 長い人生を歩んで過去を振り返ると、幼いときにさまざまな人々と出会ったことがいかに大切であったかを思います。特に私は、同世代の人々とは違った出会いを経験してきましたので、不思議な出会いだったといつも感じています。
 人の人生に最も大きな影響を与えるのは両親だと思います。私は父の顔を知りませんので、母を通して語られる父親と、母親自身の生き方によって大きな影響を受けました。父は熱心なキリスト者であり、母もそうでした。母は欠点の多い女性でしたが、神を信じ、すべてをゆだね、神とともに歩む人生をひたすら求めていました。私の両親が通っていた教会は東京にありましたが、戦時中に政府の命令で教会が解散させられ、牧師は逮捕されてしまいました。そんな中でも母は神に祈り、神の助けを求めていました。
 私は小学校3年のときに終戦を迎えましたが、戦時中に最も仲の良かった友達はユダヤ系ドイツ人の姉弟であり、学校から帰ると、彼らに加えてアメリカ人の母親と日本人の父親を持つ少女も遊び仲間でした。彼らの家とはいつも行き来しており、戦時中だというのに、他民族の家族と親戚のようなお付き合いをしていました。ドイツ人の一家とは戦後もしばらく行き来が続きましたので、私の人格形成の上で大きな影響を受けました。夫婦や家族のあり方、ものの考え方など、今考えてみると多くの影響を受けています。
 このように、母親の姿と、母が語る父親の姿を通してイエスに従う人生を教えられました。特に、戦時中にもかかわらず、母がアメリカ人の夫人とドイツ人の家族に対して親戚のように親切にしていたのはキリスト者としての愛によるものだと気づきました。また、そのドイツ人の家族との交わりからも多くのことを経験しました。キリスト者になって後で考えると、一つ一つが私にとって大切な経験でした。
 私にとって特に大きな経験は、小学校5年生のときにイエス・キリストと出会ったことです。終戦直後の社会の急激な変化の中で自分を見失い、悪い方向に進んでいたとき、幼いころに通っていた教会を思い出し、家からは少し遠かったのですが、教会に通い始めました。その教会に初めて行った日、静かに神に祈り、罪を悔い改め、イエスを救い主と信じる決意をしたことから、私の人生は決定的に変えられました。「御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます」(Tヨハネ1:7)という聖書のみことばのように、罪をゆるされて新しい人生を送る者となりました。
 その後もさまざまなことがありましたが、いつもイエスのもとに帰らせていただき、今もイエスの祝福の中を歩んでいます。小学校時代にイエスに出会ったことが、その後の人生の基本になりました。今ではイエスを伝える牧師となり、イエスを中心にした幼稚園を開設して40年が過ぎました。思いどおりに行かないこともしばしばありましたが、いつもイエスを求め、すべてをゆだね、イエスとともに歩む道を選択してきました。私の人生を変えたのはイエスとの出会いでした。その道が祝福の道であることを感謝しています。


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