はぴねす2009年1月



思いどおりにはいかないとき
牧師 藤波勝正

昨年の暮れ、ある特定非営利活動法人の総会に出席しました。その総会には、有名企業の社長であるキリスト者が10人弱、有名大学の学長、大学理事など、日本のさまざまな方面で活躍している方がたが出席していました。私も、この法人の設立以来、小さなお手伝いですが、協力してきました。この総会では、イエスを愛し、また、困難な状況下にある子供たちのために祈りつつ財と時をささげている方がたによる真剣な討議が行なわれました。

今回の総会には今までとは違うことが一つありました。2009年に世界や日本に何が起こるかわからないという恐れを皆が持っていたことです。すでにある有名企業からは、業績悪化のため、多額の寄付を中止あるいは減額せざるを得ないという連絡があったとのことでした。総会では、このような危機に遭遇したときの選択が将来を決するとして、自分たちに与えられている使命を確認しつつ優先順位を決定し、法人として何をしなければならないかが具体的に話し合われました。

その時に感動を覚えたのは、最も大切にしなければならないのは真実を守ることだと自らに厳しくしている姿でした。当たり前のことを当たり前に行なう難しさをいつも感じますが、この総会では、神を愛し、神がすべてを最善にしてくださると信じ、今、子供たちのために何をしなければならないかが考えられていました。

すべてが順調にいっている時には幅広い選択が可能ですが、思いどおりにいかないときには選択の幅が狭くなり、その中から最も大切なものを選ぶという選択が迫られます。しかも、その選択が人生を決めることもしばしばです。

そのときの選択の基準こそがその人の生き方を示します。人生の目標としてよく考えられているのは、財産を増やすこと、高い地位を得ること、名誉を得ること、つまり、財産、地位、名誉ではないでしょうか。しかし、この三つを中心に人生の選択をするなら、大きな失敗をする可能性があるのです。ある人々は、この三つはいらないと言って、自己実現、つまり自分のビジョン、自分の心、自分の考えを第一にします。その結果、周囲の人々に迷惑をかけている場合もあります。

聖書に「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』これがたいせつな第一の戒めです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです」(マタイ22:37〜40)とあります。人間の生き方、その選択基準として、愛が教えられています。神を愛すること、その神の愛によって家族を愛すること、周囲の人々を愛することが、最も大切な選択基準なのです。それは自分を捨てることです。自分の利益、地位、名誉、あるときには人生の目標を捨てなければならないこともあります。自分よりも家族、子供、周囲の人々のことを考えた選択が大切であると感じています。



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