はぴねす2009年4月



育てるのは神
牧師 藤波勝正

私たちの日々の生活はたいへん便利になりました。インスタントやレトルト、冷凍食品などを利用し、待つことをしない便利さを享受しています。そのような日々で見聞きするのは、すぐに結果を求める期待です。

そのような便利さを享受する一方で、待つことをしないという欠点にもまた気づかなければならないと思います。私たちには、できるだけ努力をせず、簡単に、手短に事が成就するのを望む傾向があります。その結果、努力すること、忍耐すること、そして、期待して待つことを忘れがちです。特に、期待して待つことが大切であるとさまざまなところで感じます。いのちある者が育つために待つことが大切なのは、だれでも知っています。

私は、キリスト兄弟団小田原教会の牧師であるとともに、特定非営利活動法人愛の光こひつじ学園という幼児教育施設の園長もしています。4月に入園したばかりの子供がわずかの間に成長していく姿を見ます。また、1年、2年、3年という期間で見ると、課題を抱えた園児たちが先生と一緒に祈り、先生や園児たちに励まされ、主の助けを受けて成長していく姿には大きな感動を覚えます。

この耐える心を専門家は「耐性」と呼んでいます。幼い時にかんしゃくを起こしても我慢することを教えられないで、すべて自分の思いどおりになった子供は、この耐性が少ないと言われます。その年代に応じたやり方で忍耐を教えること、忍耐が決してむだにならないことを経験し続けることが大切だと思います。

子供が成長していくことはだれもが知っていますが、少しでも早くその成長の結果を見たいという思いになり、焦りの心を持つことが多くあります。自分の期待どおりの結果を見たいという思いが強いため、なかなか思いどおりに行かずに不安な心になる場合も多いでしょう。子供の成長を待つためには、子供の可能性に期待すること、そして、自分の欲望を押さえることの二つが大切です。そのためには自分の心をコントロールしなければなりませんが、これほど難しいものはありません。

自分の欲求が直ちにこたえられないと、自分のわがままを抑えられず、子供の将来に対する不安が起こり、問題解決の芽を摘んでしまう場合が多々あります。子供が変化していくために必要なのは、足りない子供を愛する心、成長していく可能性のある子供を信頼して期待すること、その子供を成長させてくださる神を信じ、祈り、神の時を待つ心の三つです。

この三つのことは、日々の人間関係にも必要です。ある方から以前いただいた手紙に「焦らず、慌てず、諦めず」ということばがありました。私たちの歩みの基本は、相手への愛と信頼、すべてを導く神に対する信頼です。聖書に「成長させてくださる神なのです」(Tコリント3:7)ということばがありますが、神への信頼の中で私たちは希望を持って待つことができるようになっていくのです。待つことは相手に対する愛と信頼であり、また、神に対する信頼と祈りです。聖書が私たちに教えているのは、まことの神を信頼すること、その神は必要なものを必要な時に必要なだけ与える方であるから、その日を待つということです。待っている間に私たちの心が整えられ、得たいと思っていたものよりすばらしいもの、すなわち、練られた品性を得、整えられた人間へと成長するのです。



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