いつ聞いたのかは忘れましたが、ある有名なバレリーナがラジオで「毎日が初心者」と言っていたことが今も心に残っています。いつも初心者のつもりで取り組むという心の状態を言っているのかと思って聞いていたら、毎日毎日初心者と同じ基礎練習から始めるので、毎日が初心者だということでした。大ベテランとなり、世界のプリマドンナとして活躍している人であっても、毎日のスタートは初心者と同じ基礎練習から始めるそうです。別のところで読んだことですが、バレエの基礎練習によって、あらゆる筋肉の正しい使い方、無駄のない動き、ターンでの軸の取り方、ジャンプでの正しい筋肉の使い方を訓練し、その日の演技の基礎作りをするのだそうです。
私たちの日常生活でも、「毎日が初心者」というように、最初の決心を日々思い起こし、今自分が歩いている道を歩む喜びを味わう必要があります。
4月から新しい生活を始めた人も多くいらっしゃると思いますが、5月になって少し慣れてくると、その立場に立たされたときの決意、喜び、その時に抱いた希望を忘れがちです。最近新生活を始めた人ばかりではなく、だれでも進学、就職、就職などのときにはさまざまな試練を想像して一大決心をしたはずですが、いつしかその決心の内容を忘れ、現実に起こっていることのみに心を奪われ、不平が満ちていきます。もしかしたら、今の苦しみについてはすでに覚悟のうえでこの生活を始めていたのかもしれません。
新約聖書の多くの部分を書いたパウロという人は、もともとイエスを救い主と信じる者たちを迫害し、殺害しようとした人物です。そのような人でしたが、よみがえったイエスに会って目からうろこのようなものが落ちる経験をしたことからイエスを信じるようになり、イエスのために生きる者となりました。彼はたびたびその時のことを思い起こして神に感謝し、人々にも語っています。よく「目からうろこ」と言いますが、このときのパウロの経験から来たことばだと聞きます。
聖書に、「もし最初の確信を終わりまでしっかり保ちさえすれば、私たちは、キリストにあずかる者となるのです」(ヘブル3:14)ということばがありますが、最初の確信を日々思い起こし、人々に語り、その中を歩むことが大切なのです。そうすることによって、今の試練に勝つための心構えとして、主イエスに対する信頼が大切であることを再確認することができます。多くの人々に対して期待しつつ、希望に満ちた生活を送るための基礎となります。
私も多くの試練の中で飯田岡に小田原教会とこひつじ学園を開設し、主に支えられて今日まで来ましたが、開設を決意したときのこと、開設にあたって多くの方がたから恩を受けたこと、ここまで主が導いてくださったことを日々思い起こして感謝しています。毎日、主にあって最初に決意したことを思い起こし、今まで支えられたことを主と多くの人々に感謝し、新しく決意して今までと同じ道を歩む者となりたいと思っています。
|