はぴねす2010年11月



2000年も続いた教会
牧師 藤波勝正

8月末に、友人と二人でインドに行ってきました。何回も外国旅行をしていますが、多くの人々が行くところにはあまり行かず、変わったところによく行きます。今回のインド訪問にはいくつかの目的がありましたが、その一つについてお話ししたいと思います。

約50年前、東京でキリスト教の大きな集まりがあり、インドの教会を代表して一人の牧師があいさつをなさいました。はっきりと覚えているわけではありませんが、「私は世界でいちばん古い教会の牧師です。私の教会は、イエスの12弟子の一人トマスによって2000年前に創設され、今も教会としての働きをしています」というような内容でした。世界には数えきれないほどの教会がありますが、2000年もの長きにわたって存在し続けた教会があることに感動を覚えました。

その時以来、その教会がどのように保たれてきたのか、今の状況がどうなのかを知りたいと思っていました。インドに関係する牧師たちや友人のインド人牧師にも話を聞きました。神様はついにその教会を訪ねるチャンスを与えてくださいました。

その教会を設立した12弟子の一人トマスについては、彼がインドに行ってから同じく12弟子であったヨハネが書いた福音書に記されています。今も新約聖書で読むことができます。

ヨハネの福音書には、よみがえったイエスに12弟子が会ったときにトマスがいなかったとあります。ほかの弟子たちからイエスに会ったことを聞かされたトマスは、「私は、その手に釘の跡を見、私の指を釘のところに差し入れ、また私の手をそのわきに差し入れてみなければ、決して信じません」と言って、イエスの復活に疑問を抱きました。このような態度は彼だけではありません。ありえないと思っていることを聞かされても、なかなか信じられないものです。

けれども、次の週にイエスご自身がトマスに会いにいらっしゃいました。「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手を伸ばして、わたしのわきに差し入れなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」と言われたトマスは、「私の主。私の神」と言って、イエスを礼拝しました。

ヨハネの福音書が書かれたのは、トマスがいたインドとは遠く離れたところでした。インドまで新約聖書が伝えられたのは、かなり後のことだったでしょう。トマスによって建てられたトマス教会の人々がその新約聖書を受け入れたということは、そこに書かれていることが彼らが知っているトマス自身のことばと同じだったからではないでしょうか。そのことから、トマス教会の人々は自分たちに伝えられてきたことが正しかったと知ることができました。そのような確信こそが、伝えられた信仰を2000年にもわたって守り通すことができた一つの要因だったのです。昔のトマス教会の人々が信じたのは、私たちが「誤りのない神のことば」として日々読み、信じ、従っている聖書のことばなのです。



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