この時期になりますと、あちらこちらにクリスマスツリーが飾られます。多くの方がたがイエス・キリストの降誕を祝っていてくださることを感謝します。
私が最初にクリスマスツリーを見たのは昭和20年代、ユダヤ系ドイツ人の家庭でのことでした。形のよいモミの木のいちばん上に星が飾られ、枝の端にはろうそくが置かれ、丸いドーナツ型の飾り、三角の飾り、赤い玉、あめのようなものなどが飾られていたのを記憶しています。木の根元に子供たちへのプレゼントが置かれていたのが印象的でした。
このクリスマスツリーの原型は、北欧の古代ゲルマン民族のユール、冬至の祭りで使われていたモミの木だと言われます。モミの木は冬でも葉が枯れないので、生命の象徴とされ、冬至の祭りで使われたようです。そのゲルマン民族のある町で、人々がイエスを救い主と信じたときから、冬至の祭りのモミの木にイエスへの信仰を示すいろいろな飾りをつけ、イエスへの感謝を表わしたのが始まりだというように本にありました。
クリスマスツリーの飾りにも意味があります。いちばん上に飾られる星は、イエスがお生まれになったときに表われて、救い主の降誕を知らせたベツレヘムの星を表わしています。赤い玉はりんごです。神が人間を創造したとき、エデンの園にきれいな実をつける木が置かれましたが、神はアダムとエバにその木の実を決して食べてはならないとお命じになりました。しかし、二人が食べてしまったことでこの世に罪が入ったと聖書は記しています。その食べてはならない木の実の象徴としてりんごを飾り、人間の罪を示しています。
クリスマスツリーの飾りでいちばん華やかなのが、枝に飾られるろうそく、電飾です。私たちが人生を正しく歩むためには光が必要であり、その光こそ、「わたしは世の光です」とおっしゃったイエス・キリストです。ろうそくや電飾は、世の光であるイエスご自身を表わします。かつては本物のろうそくでしたが、今では電飾に変わりました。
ドーナツ型の飾りは、パンです。私たちを救うためにこの世に来られたイエスは「わたしはいのちのパンです」をおっしゃいましたが、そのことから、私たちの心を満たす真の食べ物であるイエスを指しています。三角の飾りは、神がキリスト者に与えてくださる最も大切なもの、信仰、希望、愛を表わすと言われています。
クリスマスツリーを通して示されているのは、人間が犯した罪のためにイエスがお生まれになり、救いの道を開いてくださったこと、また私たちがその恵みの中にいることに対する感謝と新たな決意です。
聖書に記録されているキリスト降誕の記事の中にイエスの使命が明らかにされています。生まれる前に天使が「マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です」(マタイ1:21)と語り、生まれてくる子供の名前と使命を告げました。私自身も、イエスがこの世においでになったことを感謝するクリスマスを祝いますが、それは、イエスによって罪を赦され、生涯が変えられたことを感謝しているからです。
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