はぴねす2011年7月



家庭の交わりの中で成長する
牧師 藤波勝正

間もなく学校が夏休みに入り、ふだんより家族で過ごすことが多くなることでしょう。最近、家庭での交わりが軽視されがちな傾向があることに危機感を感じます。家庭での交わりから得る多くのものによって、子供が将来豊かな人生を送る基礎が作られていくのです。

先日、家庭での手伝いが子供の精神的成長に大きく貢献するという話をテレビで見ました。子供が中学生や高校生になると、勉強がいちばん大事だからと家庭の手伝いが免除され、勉強中心という名の孤立した生活になるため、その時代に学ばなければならない多くことを経験するチャンスが失われているというのです。

長い間、夫婦とは何か、家庭とは何か、豊かな人生を送るために何が必要なのかを学んできましたが、家庭とは、第一に、家族の心がお互いに養われ、育ち合う場であると思います。子供が親の愛の中にいることを実感すると、心は愛で満たされ、平安が与えられます。

第二に、家庭は人間として教育され、訓練される場です。生きる方向を示す原点は聖書ですが、同時に私たちは、その家庭に伝えられた習慣、作法などの人間関係によって教育されます。人は多くの失敗を通して大切なことを学ぶのですが、訓練の場である家庭では失敗が許され、そこから大切なことを学ぶことができます。

第三に、家庭は奉仕する場です。すべての者が家族のために何かの役割を持っているのです。このことを知れば、自分の存在価値を見いだし、生きる力を得ることができます。同時に、家庭全体も、その家庭がある地域社会に対して、家庭に属している人々の持つ人間関係においても役立つ存在となるのです。

第四に、家庭は新しく生きる力が与えられる再創造の場です。仕事、勉強、人間関係に疲れた者も、家庭の愛の交わりによって新しく生きる力が与えられ、再び立ち上がることができます。

家庭とは、このような愛の交わりの中で、家族の絆の中で、それぞれが成長していく大事な場所です。聖書には、「あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです」(Tヨハネ1:3)とあります。「交わり」は、聖書が書かれたギリシャ語ではコイノーニアということばですが、日本語にはない豊かな意味を持っています。愛の交わりの共有、物質の共有、互いのわざの共有などの意味がありますが、これは互いに愛し合うことによって共に苦しみ、共に喜び、共に悲しむ関係です。この愛の関係の中で心が養われ、お互いに成長し合い、家族のためにそれぞれが奉仕し合い、生かされ合い、新しく歩む力を受けることができるのです。「私たちの交わり」とはイエスとの交わりを指していますが、この愛の関係は、イエスから愛を受けた神の家族である教会の中にあります。この交わりのうちに助け合い、支え合い、試練に勝つ力をいただくことができるのです。



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