こひつじひろば  2007年度10号

おおしま卒園旅行編




おおしま
 いよいよ「おおしま」卒園旅行の時期がやってきました。夏のお泊まり会を経験し、自信をつけたからこそ行かれる卒園旅行。「期待たっぷり不安ちょっぴり」という子供たちが多かったのではないかと思います。
 今回行く場所は、子供たちにとって知らない、初めての場所です。そこへ、大好きなお父さんやお母さんと離れ、仲間だけで泊まりに行くわけですから、本当にすごいことです。
 子供たちにとって、まさに「大冒険」の卒園旅行。果たして無事に行ってくることができたのでしょうか?


1月17日
11:56 しゅっぱつ
 高まる気持ちを抑えながら、みどり組の子供たちが小田原駅に集合しました。ニコニコしながら楽しくて仕方のない表情を浮かべる子もいれば、いざ行くとなるとちょっと不安そうな顔も……。11時56分発のJRに乗って、いよいよ大冒険のはじまりです。

13:35 じぇっとせん
 JRで熱海駅に着くと、今度はグループごとにタクシーに乗って熱海港へ。港からは今回の旅行の目玉でもあるジェット船、超高速船「セブンアイランド愛」に乗って、目的地おおしまを目指しました。

14:30 おかいもの
 ジェット船に乗ってから「あっ」という間に45分がたち、岡田港(大島)に到着です! イメージと違ったのか、「え? ここがおおしまなの?」と目をキョロキョロさせる子の姿もありました。
 あこがれの地「おおしま」での記念すべき最初のプログラムはおかいものです。700円という大金を手に、皆思い思いにお土産を買いました。自分の好きなものを買う子、家族や兄弟のために買う子、おつりを大事にキープしようとする子、お土産の「数」を重視する子……。買うものはもちろんのこと、買い方もさまざまで個性がにじみ出ていました。

15:45 みはらやま
 お買い物を追えた一行は、古谷先生の車に乗って三原山へ向かいました。車に揺られること30分、三原山噴火口跡へ到着です。そこでまず目に飛び込んできたのは、なんと解けきらずに残っていたでした。車から降りた子供たちはそのへ一直線。「昨日、今朝方に降ったのが残っていたんだね」とは古谷先生。思いがけないおおしまからのプレゼントに大満足の子供たちでした。
 つかの間の遊びタイムの後、古谷先生に噴火口跡を案内していただきました。例年より早い時間帯ということもあって、まだ明るかったため景色もよく、遠くにはうっすら日本一の山富士山を望むこともできました。しばらく歩いた後、お土産に溶岩を拾って車へ戻りました。

16:40 おんせん
 三原山噴火口跡から少し下ったところに露天風呂付きの温泉があります。実はこの温泉タイム、子供たちにとっては相当楽しみだったらしく、旅行前に聞いた「楽しみなこと」でも帰り道に聞いた「楽しかったこと」でも圧倒的多数を占めていました。男湯には古谷先生も入ってくださり、一緒に絶景を眺めました。

18:00 いずみのいえ
 すっかり日も暮れ、暗い道を走り続ける車の中では「お腹すいたぁ〜」「今日のご飯はなぁに?」と、今にもお腹がグゥゥ〜と鳴りそうな会話が飛び交っていました。温泉から30分でいずみのいえに着くと、みんなでご飯の準備を手伝いました。この日のメニューは、べっこう丼(メダイのお刺身)、味噌汁、鳥の照り焼き、ほうれん草のごま和え、明日葉のシーチキン和え、ポテトサラダ、イチゴババロア。いつものようにお祈りして、おいしくいただきました。そのあまりの「おいしさ」にいつになくお代わりをしていた子供たち。その勢いには古谷先生の奥様も「えぇぇぇー!」と声を上げて驚いていられました。

19:20 れくりえーしょん
 夕食を食べ終え、荷物を寝室に運んだ後は夜のプログラムです。
 まずはきもだめし。今回は寝室を含む建物の周りを一周、距離にして100メートル足らずを回ってくるコースなのですが、周りには家や建物がないので、文字通り真っ暗……。前回のお泊まり会のときとは比べ物にならないほどの雰囲気に縮こまる子供たち。それでも、勇気ある子が先陣を切り、「全然平気!」と戻ってくると、あとの子供たちもすっかり勢いづき、全員暗闇を一人で歩くことができました。
 きもだめしの後は、暖かいお部屋に入って、幼稚園から持ってきたトランプカルタを楽しみました。さすがはみどり組の子供たち。一人一人がルールをよくわかっていて、ババ抜き、七並べ、カルタ、大貧民……。どこのグループも白熱していました。
 ゲームが終わると、今度は先生からお話があり、「がんばっておおしまに来られた」記念にイルカの形をしたプレゼントをもらいました。

21:00 おやすみ
 自分の寝室に戻り、布団を敷いて歯みがきをして、パジャマに着替えてお祈りをしました。今日一日守っていただいたことを神様に感謝して……「おやすみなさい
 ZZZ  ZZZ



1月18日

6:00 おはよう
 5時半ぐらいになると、何人かの目が開き始め、コソコソ話し声が聞こえてきました。6時になるころには全員が自然と目を覚まし、「あれ? ここどこだっけ?」と寝ぼけていた子もすっかり起き上がり、着替えてお布団をたたんでみんなで礼拝、「おはようございます」のあいさつをしました。
 礼拝が終わり、お外へ出ると、辺りは明るくなっていて、風が木の葉を揺らす音が……と思ったら、それは空から降ってきたあられが屋根を打つ音でした。あられを見て「わぁぁ、雪だぁ!」と大興奮の子供たち。あられが少し降る中、海がきれいに見えるコースにお散歩をして、いずみのいえに戻り、朝食をいただきました。
 朝食のメニューは、手作りパン(ウィンナーサンド、シナモンロール、リンゴジャム)、コーンスープ、野菜サラダ、スクランブルエッグでした。

9:40 おおしまこうえん & どうぶつえん
 朝食後すぐに大島公園に出発の予定でしたが、あられがひどく、しばらくお部屋でようすを見ることに。この時間を利用して、昨夜やり足りない感じだったトランプカルタの第2ラウンドをすることにしました。
 ゲームも一段落したころにちょうど雨も上がり、大島公園へ出発です。舗装された道の両脇には、椿や大きなやしの木など、さまざまな植物がたくさんあり、大島公園ならではの自然を満喫した子供たち。芝生が広がりがきれいに見えるスポットで写真を撮り、動物園に向かいました。
 大島公園をゆっくり歩くこと30分、大島動物園に着きました。動物園はここ数年改装工事をしており、今回もまだ通れないところがありましたが、レッサーパンダやロバ、キョン、孔雀、ゾウガメなど、たくさんの種類の動物を見ることができました。かわいい動物に子供たちからは思わず笑顔がこぼれていました。途中、おやつ休憩も挟んで、楽しく見て回ることができました。

12:00 おひるごはん
 予定では船の中での昼食でしたが、船の時間が遅くなったため、いずみのいえでいただきました。
 昼食のメニューは、わかめごはん、さつまいも、手作りチャーシュー、とん汁、ミニトマト、ブロッコリー、漬物(大根)でした。

13:40 かえりみち
 お世話になったいずみのいえともお別れです。岡田港へ向かう車の中、いつも元気な子供たちにも疲労の色が見え、帰りのジェット船では何人かの子が気持ちよさそうに寝ていました。熱海港からタクシーに乗り、15時48分のJRに飛び込むように乗り、16時17分、ゴールの小田原駅へと帰ってきました。



達成感を感じて……
 大好きなお母さんやお父さんと離れるだけでなく、知らない場所でお泊まりすること。5歳や6歳の子供たちにとって、こんな大冒険はないと思います。24時間を越える長い長い卒園旅行……。帰りの船の中、電車の中、子供たちは確かに疲れていました。それでも、通りがかりの人や近くの座席の方に「何歳ですか?」「どこから来たの?」「えぇっ! 一つ泊まったの?」と声をかけられると、自信満々誇らしげに答えていました。その表情は、達成感と充実感に満ちあふれ、まぶしいほど輝いていました。おそらくこの卒園旅行という経験を通して、私たち大人が思う以上に子供が大きな自信を得たことと思います。その自身をパワーに変えて、今回体調不良で参加できなかった子供も含め19人全員で無事に卒園できるよう、残りわずかな期間ですが、1日1日を大切にしていきたいと思います。
 最後に、おおしま旅行に協力してくださった皆様、ありがとうございました。





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