こひつじひろば  2009年度10号




年間テーマ: 「自分」を生きる
――ともだち――
 寒くて、だれも気づかない植え込みの下にいくつものフキノトウが出ていたり、木の芽にも心なしかふくらみを感じたりします。立春を迎えるころになると、寒さの中にもほんの少し春らしさが感じられるようになります。
 子供たちも、絵の表現やことばの表現など、いろいろな場面で今までより充実した表現が見られるようになりました。目に見えない子供たちの内なる心の充実を思い、その成長に感謝しました。今まで自分のことしか見えなかった子供たちが、友だち関係においても、今まで気づかなかったことを認識するようになり、友達との付き合い方も変わっていくのではないでしょうか。触れ合うことの少なかった友達にも関心が向けられていることも感じます。
 1年間の保育の集大成の時期です。本当の保育の成果は目に見えにくい子供たちの心の中に蒔かれたものであることを感じます。いつの日か、それが芽ばえて大きく育ち、心の土台となることを願い祈っています。

交通安全教室 〜とまって てをあげ みぎみる ひだりみる みぎみる〜
 今年も小田原市の暮らし安全課の方がたが交通安全教室をしてくださいました。初めに、パネルシアターで自動車のライトが点滅している絵が出て、「この車はどっちに曲っていくでしょう」という問題が出ました。「こっち!」と得意になって答える子供たちでした。クイズ、手遊び、歌など交えてとても楽しくご指導くださるので、子供たちはにこにこ顔でよーくお話を聞いていました。特に毎年恒例のかっぴい(かっぱの着ぐるみ)の登場では大喜び。かっぴいの失敗談やトンチンカンな答えに大笑いしながら、交通ルールをしっかり学びました。
 その後、みどり組は実地訓練です。園庭に横断歩道やお店屋さん、信号機が用意され、見通しの悪い歩道の歩き方、横断歩道の前では「止まって手を挙げ、右見る左見る右見る」と確認すること、傘を差した時の歩き方を具体的に一人一人やってみました。教えていただいたことに注意しながらスタートからゴールまでしっかり歩きました。ゴールではかっぴいが待っていてくれて「がんばったね!」と声を掛けてくれました。
 そして、最後に指導員の方に「こうつうあんぜんめんきょしょう」をいただき、大喜びでした。これから小学生になり、一人で歩かなければならない年長の子供たちにとって貴重な経験となったと思います。

はっけよーい、のこった! 〜しり相撲〜
 1月に入るとぐっと寒くなり、霜柱をざくざく踏みながら登園したり、「口から煙がでる!」と吐く息の白さにびっくりしたり、寒さの中にもさまざまな発見や楽しみを見つけて過ごしている子供たち。こんな寒い毎日だけれども、「お部屋の中でも体を温めよう!」とき組のクラス活動でしり相撲をしました。
 ルールは簡単。丸い円の中からおしりだけで相手を押し出すのです。対戦方法は、座った隣同士や端っこ同士など、体の大きさや男の子女の子関係なく、当たった相手と本気の一本勝負!「はっけよーい、のこった!」の合図で押したり、体の向きを変えたりしながら、相手を場外に押し出そうと顔を真っ赤にしてがんばります。応援している子供たちも先生も手に汗に握り、また、あまりの白熱ぶりに周りのクラスの子も窓ガラス越しに真剣に見守ります。
 この勝負、体をくの字に曲げたり、押し出されそうになったら体の向きをギリギリで変えて逆に相手をよろけさせたりという「技」も必要で、単純に体の大きい子や力の強い子が勝てるわけではありませんでした。体の小さい男の子が体の大きい女の子に勝つこともありました。負けてしまい込み上げてくる涙を周りに悟られないようにふきながら、友達の応援をするという、自分との戦いに勝った子もいました。どんな大きな相手でも本気で戦ったこと、勝負で負けても自分に勝てたこと、この経験は子供たちの成長につながったことと思います。

おもちつき 〜うすときねでペッタンコ〜
 1月のなかよしランチはおもちつきをしました。臼(うす)と杵(きね)でつくのは初めての子が多かったのではないでしょうか。最初に先生がついている姿を見る子供の目は輝いており、声には出していなくても「早くやりた〜〜い!」という声が不思議と聞こえました。
 早速、おもちをつくあか組さん。一人で重い杵を持って「うんしょ! うんしょ!」とつきました。大きく杵を持ち上げて力を込めてつく子、少しだけ持ち上げてタンタンタンとテンポよくつく子とそれぞれバラバラのつき方でしたが、楽しかったという気持ちは皆一緒で、ついた後は「達成した!」「やり遂げた!」という笑顔が見られました。
 ついたおもちはとても柔らかく、「おいしいねー!」と大きな口で食べ、何回もおかわりに行く子もいました。自分でついたおもちはいつもよりおいしく感じたのでしょうか。 お休みしてもちつきができなかった子も、来年は一緒について、この時だけの感覚を味わってほしいです。あの笑顔がもう一度見られると思うと、来年のおもちつきが今から楽しみです。





■TOPへ   ■こひつじひろばTOPへ